第268回物質科学セミナー 2023 年 12 月 28 日 (木) 八方 直久氏「クラスレート化合物 Eu8Ga16Ge30 の蛍光X線ホログラフィー」
題名
クラスレート化合物 Eu8Ga16Ge30 の蛍光X線ホログラフィー
講師
八方 直久氏 (広島市大院情報)
日時
2023 年 12 月 28 日 (木) 14:00 – 15:30
場所
総合科学部 J306
講演要旨
蛍光X線ホログラフィー(XFH)は、物質中、特定元素周辺の局所原子配列を、広域X線吸収微細構造法(EXAFS)よりも広範囲に、立体的に(3次元で)見ることができる結晶構造解析手法である [1]。様々な機能性材料の活性サイトを探ることにより、機能発現のメカニズム解明が期待される。 我々は 2022 年度に、クラスレート化合物 Eu8Ga16Ge30、マルチフェロイック材料 Pb(Fe0.5Ta0.5)O3、充填スクッテルダイト CeRu4Sb12、硬質皮膜材料 CrN2O2、高エントロピー合金 CrMnFeCoNi、半導体材料Bi 添加 GaAs、A サイト秩序型ペロブスカイト CaCu3Ti4O12、強誘電性半導体デバイス材料 BiFeO3、準結晶 Ag41In44Yb15、リチウムイオン電池材料 LixLa(1−x)/3NbO3 などの測定を行った。 本講演では、それらの中から、I 型クラスレート化合物 Eu8Ga16Ge30 の XFH の結果について紹介する。大きな空孔(籠)を有するクラスレート化合物は、その籠の中のゲスト原子の非調和振動により格子熱伝導が抑制されるので熱電変換物質への応用が期待されている。この非調和振動を理解するためには、ゲスト原子が籠の中でどのような位置を占めているかを知ることが重要である。我々は、Eu ならびに Ge の吸収端近傍の蛍光X線ホログラフィーを測定し、Euと Ge 周辺の原子配置を調べた。講演では得られた結果について報告する。
[1 ] K. Hayashi et al., J. Phys.: Condens. Matter, 24, 093021 (2012).
理工学融合共同演習の認定科目です