第272回物質科学セミナー 2025 年 2 月 20 日 (木) 丸山耕司氏「量子操作のスピードリミットに対する代数的アプローチ」

題名

量子操作のスピードリミットに対する代数的アプローチ

講師

丸山耕司氏(富山大学・兼ウルフラムリサーチ・コンサルタント)

日時

2025 年 2 月 20 日 (木) 16:00 – 17:30

場所

総合科学部 C617

講演要旨

多体量子系を制御する際に必要な時間がどれほどかは,将来の量子技術の発展に決定的に重要な問題である.しかし,量子系に作用する時間発展演算子は,時間順序指数関数となるためそのままでの解析は一般には非常に難しい.ここでは,Baker-Campbell-Hausdorff(BCH) 公式を代数的に詳しく調べ,量子制御ハミルトニアンのなす空間に距離を定義できること,それに伴い制御時間の下限が得られることを示す.この制御時間下限は,主な量子スピードリミットよりも比較可能な範囲で大きな (良い) 下限を与えることも見る.これは,制御に相当するユニタリ演算子のみを見て幾何的に制御時間を推定する手法と異なり,driving Hamiltonian たちが作るリー代数の構造が (完全ではないが) 反映されるためである.

理工学融合共同演習の認定科目です

世話人:片山 春菜 (内 6520)